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東京・上野にある不忍池では今、ハスの…


 東京・上野にある不忍池では今、ハスの開花時期を迎えて、薄紅色の大きな花を見ることができる。池は葉で水面が見えないほどだが、それだけ花の数も多い。俳人の篠塚しげるは「あめつちにかく微なる音蓮ひらく」と詠んだ。

 花は早朝に開いて午後つぼむので、観蓮会は午前中に開かれる。そこで句や歌にも詠まれるわけだが、引用句のようにハスに開花音があるという作品は、昭和30年代まで作られ続けたらしい。

 江戸時代中期にも「暁に音して匂うはちすかな」(潮十子)のような句が作られ、石川啄木や正岡子規らも開花音があるという作品を残した。これに対して、「音などは断じてない」と言ったのは大賀一郎博士。

 古代ハスの発見で知られる植物学者だが、昭和10年から27年間、毎年7月24日に不忍池で観蓮会を開き続けた。戦時中は、弁天堂が焼かれたり、池が水田化したりしたため、場所を別に移して開催したようだ。

 花の開き方を観察し、4日間開閉するうち、音のする可能性の高かったのは第1日と第2日の夜明け。だがどの品種も外側から1分間に1㌢というゆっくりした速度で開き、音はしない、と明らかにした。

 大賀博士が昭和26年に千葉市で発見した2000年前のハスの実は、翌年7月18日に開花した。博士が晩年を過ごした東京都府中市には郷土の森公園があって、ハス池に大賀ハスがある。今年の開花は6月半ば。温暖化で開花が早まっているようだ。