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自身の転移がん診療をめぐり、理不尽な国の…


 自身の転移がん診療をめぐり、理不尽な国の医療制度を真正面から告発し、6年にわたる裁判を弁護士なしで闘った裁判記録がある。清郷伸人著『患者本位の医療制度を求めて』(蕗書房刊) 。

 清郷さんは頭部と頸部の骨に転移したがん治療に、放射線治療を行い、保険診療のインターフェロン(IF)療法と自由診療の活性化リンパ球移入療法(LAK療法)を併用して元気を保つことができた。ところが、これは保険制度上では混合診療とされた 。

 保険診療を受ける資格が取り消され、IF療法の治療費が保険適用されずに全額自己負担に。この不当性を告発した訴訟は07年11月の東京地裁で勝訴したが、09年9月東京高裁で敗訴、最高裁で11年10月に上告棄却された 。

 それでも裁判官の個別意見では、制度の柔軟な運用や制度全体の検討を求めたのである。新聞社説も「混合診療の解禁は立法府に委ねられた」(日経)と論ずるなど清郷さんの主張に理解を示した 。

 混合診療の容認は、アベノミクスの成長戦略を牽引(けんいん)する規制改革の目玉として6月にまとめる政府の規制改革会議の答申に盛り込まれることに。同会議がまとめた新たな「選択療養制度」(仮称)は、患者の判断で混合診療を選べるよう選択肢を拡大 。

 一方で医師のリスク説明や医師との合意など安全性確保と、混合診療の範囲が無制限に広がらないよう一定のルール設定も。患者本位の医療が前進する。