世界日報 Web版

【上昇気流】相次ぐ高齢ドライバーによる暴走事故


 相次ぐ高齢ドライバーによる暴走事故。大阪狭山市で1人死亡、2人重傷という大惨事を起こし過失運転致死傷の容疑に問われている89歳容疑者は、運転免許の自主返納を相談していたという。

スーパーに車突っ込み3人死傷、89歳男を逮捕

スーパーに突っ込んだ乗用車の周辺を調べる警察官ら=17日午後、大阪府大阪狭山市

先月81歳で亡くなった落語の人間国宝、柳家小三治さんは、4年ほど前に普通自動車と大型自動二輪の免許を自主返納した。東京・新宿警察署で返納した日に新宿末廣亭に出て、そのことを「まくら」で語った。客の一人だった気流子も強い印象を受け、小欄で紹介した。

小三治さんはバイクが趣味で、ライダーとしても有名だった。そんなこともあり、免許を手放すのには「ちょっと思いの深いものがあるんです」と語っていた。

小三治さんに返納を決意させたのは、その数日前、群馬県前橋市で85歳の男が運転する車に女子高校生2人がはねられ、2人とも重体となる事故が起きたことが大きかった。「これから将来のある高校生を」と小三治さんは珍しく憤りを露(あら)わにしていた。

今回の事故の容疑者も、運転に相当不安を感じていたに違いない。それでも返納を躊躇(ちゅうちょ)させる何かがあったのだろうか。

警察は75歳以上の自主返納を推奨しているが、昨年の返納率は最大の東京でも7・63%に留(とど)まっている。東京が全国一高いのは、地下鉄やバスなど交通網が発達しているからだろう。一方、過疎地域は車に代わる交通手段に乏しい。自主返納への一層の働き掛けと、地方での移動手段の確保が迫られている。