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【上昇気流】社会的活動としての「研究」


秋の叙勲で瑞宝大綬章を受章した理化学研究所理事長の松本紘氏は「研究という活動を社会が認めてくれた。勇気づけられる」と喜びを語った。例の「STAP細胞」の研究不正で信頼が揺らいでいた理研を立て直した。今回の受章は感慨新ただろう。

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松本氏自身、地球磁気圏の研究で大きな業績を挙げているが、「研究という活動」に言及している点が興味深い。わが国では社会的活動としての「研究」への評価がまだまだ高くないという主張だ。

松本氏は京大での研究が長いが、なるほど日本ではどこどこの大学という看板があっての研究室であり、企業では生産ラインの一パーツとしての研究部門・施設であることが大半だ。企業の業績如何(いかん)で、縮小の憂き目に遭う可能性も小さくない。

欧米先進国は違う。ドイツにはフラウンホーファー研究機構がある。各地に75の研究所を構え、社会全体の利益を目的に民間企業や公共機関向けの研究を進めている。約3万人のスタッフがいる。

米国にはDARPA(国防高等研究計画局)のような組織がある。大統領と国防長官の直轄で、最先端科学技術の開発を行うが、米軍から直接的な干渉は一切受けない。研究者の一般公募を行い、巨額の予算が投じられて全ての研究目標は公開されている。

日本で今、研究費の多寡の議論がされている。その問題も大切だが、地方にどんどん研究機関ができ、社会的インフラとして人々に認知されることが重要だ。