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寒桜は今年は随分と早い


自宅で仕事をする日が多いが、よく散歩もする。この辺り、東京・三鷹市の郊外には、造園業者の樹木園や農家の畑が多く、作物の実り具合や草木の様子を見るのが面白い。

イチョウを栽培する農家では、収穫したギンナンを販売し始めた。里芋の葉が途方もなく大きくなり、地下で芋も膨らんでいるだろうと思われる。キャベツは玉を膨らまし始めたところ。

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ある畑にはツバキとツゲの生け垣があって、ヤブガラシの茎と葉が絡んでいる。内側には桜の木が数本並んでいて、花を咲かせていた。花は小さめで白く、縁が薄いピンクで彩られている。

寒桜なのだ。去年は11月から12月にかけて開花していたが、今年は随分と早い。春の華やかな桜と違って、花はまばらで寂しげだ。その隣ではサルスベリが夏の名残のように花を咲かせている。

俳句では、一方が冬の季語で、他方は夏の季語。その併存が現代という時代の特徴だ。写真家の宮崎学さんは、野生動物の世界で起きている珍奇な現象を「自然攪乱」と呼ぶ(『イマドキの野生動物』東京都写真美術館刊)。

イノシシは農家が捨てたスイカを餌にして繁殖している。ニホンジカやニホンザルは、凍結防止剤として道に撒(ま)かれた塩化カルシウムを舐(な)めにやって来る。東京・新宿の繁華街ではアライグマが生ごみをあさる。彼らは社会の変化を感じ取り、接近するようになった。人々が無関心のうちに、自然界は自然でなくなったかのようだ。