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東京五輪の表彰式で国歌「君が代」の演奏が…


 東京五輪の表彰式で国歌「君が代」の演奏が20回を超えた。何度聞いてもジンとくる。無観客の静寂ゆえに他国にない独特の曲調が一段と引き立っているように思えた。

 国家には「国歌」がある。そのことを日本人が知ったのは明治初期のことだ。横浜駐屯の英国歩兵大隊の軍楽隊長フェントンから教えられた。それで日本の国歌を作ることになり、歌詞は平安時代の「古今和歌集」にある「君が代」ですんなり決まった。

 この歌は題がなく、読人(よみびと)も知れない。が、謡曲や狂言、俳諧などに時代を経て浸透し、「祝賀」の歌として広く知られていた。では、曲はどうする。作曲家の團(だん)伊玖磨(いくま)によれば、候補には五つの曲があった(『日本人と西洋音楽 異文化との出会い』日本放送出版協会)。

 1曲目はフェントン作曲のアイルランド民謡調。これには彼の愛弟子で海軍軍楽隊長だった中村祐庸(すけつね)が歌詞と旋律が噛み合っていないと反対した。洋楽的アプローチに限界を感じた中村は宮内省の楽人に作曲を依頼。出来上がった雅楽の調性をドイツ人お雇い音楽教師エッケルトが西洋式の和声に付け替え、今の曲に至った。

 五つの曲の中には米国人音楽教師メーソンが推薦した讃美歌もあった。團は「これこそ西洋と日本の究極の出会い」と述べている。

 「君が代」誕生の背景は国際色が豊かで、国を超えた友情を尊ぶ五輪精神にも相通じる。左翼人士の皆様も胸を張って国歌をご静聴ください。