世界日報 Web版

韓国に初めて取材旅行に出掛けたのは三十数年…


 韓国に初めて取材旅行に出掛けたのは三十数年も前のことで、歴史も、文化も、政治も知識は白紙状態に近かった。出掛ける前の日々、ひたすら勉強し、識者からアドバイスを受け、取材先に目星をつけ、現地に赴いた。

 ソウルに着くと、現地の支局長が気流子のために通訳をつけてくれた。ある時、ハングルの文章を訳してもらったのだが、驚いた。それはユダヤ系神学者の名前で、発音が正確だったからだ。

 ハングルは日本語のカタカナより発音を正確に表現できる文字だと実感し、世界中のどの言語にも対応できる表音能力を持っているとも思った。言葉は太古からあったが、ハングルが作られたのは15世紀半ば。

 現在公開中の韓国映画「王の願い」は、朝鮮第4代国王・世宗が僧侶と組んで文字を作り上げた歴史をドラマ化した作品で、副題は「ハングルの始まり」。物語は酷暑の中での雨乞いの儀式から始まる。

 「読み上げる文章が漢文では、朝鮮の神霊には理解できない」と王は言い、自国語に替えて天に告げる。儒教国で僧侶は身分が低かったが、その協力を必要としたのは表音文字の梵語を知っていたからだ。

 王の臣下と僧侶らの対立、ハングルの創作過程が描かれ、王の葛藤や悩み、それを克服していく姿が印象的だ。チョ・チョルヒョン監督は撮影舞台に海印寺、浮石寺、鳳停寺、景福宮、昌徳宮など文化遺跡を登場させ、歴史的空間を再現させた。風景もドラマも美しい作品だ。