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政府が閣議決定した令和3年版防災白書では…


 政府が閣議決定した令和3年版防災白書では、新型コロナウイルス禍での災害対策について「密」を避ける分散避難の必要性を説き、各市町村にホテルや旅館などを活用した多くの避難所開設の促進を求めている。

 その上で、人々の適切な行動として①「避難」とは「難」を「避」けることであり、安全な場所にいる人まで避難場所に行く必要はない②避難先は小中学校、公民館だけではない。安全な親戚・知人宅に避難することも考えてみよう――と指摘している。

 必ずしも、分散避難だけをにらんだ対策ではないが、適切だと思う。自然災害など突発事には地元の自治体や住民一人ひとりがとっさの判断を強いられる。これが案外むつかしい。人が集まる場所が必ずしも安全だとは言えないからだ。

 最近、各地の豪雨時、住民が指定された体育館などに詰め掛け収容し切れないことがあり、遠方の公共施設に振り分けられた。その移動の折、被害が生じる恐れもあった。

 5年前に直下型の熊本地震が起きた際、地球物理学の第一人者である上田誠也・東京大学名誉教授に話を聞いたが、「たいていの地震は、それぞれが(その発生場所・時期、そのあり方など)初めてのものだ。『すべての地震は新しい経験である』と言えるかもしれない」と。

 これは自然災害一般に対する人間の心構えを厳しく問う言葉だ。コロナ禍の災害対策でも「自らの命は自らが守る」という鉄則は生きているのである。