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湿地に生える水生植物が花を咲かせる季節で…


 湿地に生える水生植物が花を咲かせる季節である。東京・調布市にある都立神代植物公園は今月4日から再開園した。新型コロナウイルス対策のため入園には事前予約が必要だが、分園の水生植物園はその必要がないという。

 アシ、オギ、マコモ、アヤメなどがあるが、見ごろなのはハナショウブ。カキツバタやアヤメは5月に開花するが、ハナショウブは6月。カキツバタやアヤメと違って、花の色はさまざま。

 『季題別現代俳句選集』(俳人協会編)によると、現代人はカキツバタやアヤメより、ハナショウブに多く関心を寄せるようだ。アヤメ4句、カキツバタ8句に対し、ハナショウブ30句と収録数が多い。

 カキツバタの花は紫色で白い線があるだけ。端正だ。尾形光琳「燕子花図屏風」にあるように古典的な美の象徴。光琳にはもう一つ「八橋図屏風」があり、こちらはカキツバタの間に橋が描かれている。

 これを画像で見ていると、前記の水生植物園の風景が連想された。こちらもハナショウブの間に木道が置かれていて、雰囲気が似ている。光琳は花だけ描いて水も空も省略したが、その気配が感じられる。

 明治神宮御苑にも花菖蒲田がある。こちらは森に囲まれていて、ひっそりとしたたたずまい。細流が田をつないでいて、さかのぼっていくと湧き水にたどり着く。歌人の石川恭子さんは「森蔭の花菖蒲田に水めぐり水より生まれて濃し紫は」と詠んだ。が、まだ入苑は許可されていない。