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拙宅近くのマンション建築の工事現場に…


 拙宅近くのマンション建築の工事現場に「凡事徹底」と記した畳4畳ほどの布が張られ、そこで作業する人たちに睨(にら)みを利かしている。現場の管理者は事故防止に最も気を使っているのが分かる。

 長町三生著『安全管理の人間工学』では「労働災害も、作業者がからんでいれば、そこには必ず人間の行動原理が作用している」として①仕事の目的は何か(作業目的)②作業は誰とするのか(作業組織)――の確認、協調性の大切さを強調している。その上で「日本の労働災害防止のための安全管理は世界的に優れている」と評している。

 それだけに、東京・新宿区下落合のマンション地下駐車場内で、天井の石膏ボードの張り替え工事中に二酸化炭素(CO2)が噴出し、作業員4人死亡、1人重体の事故は悲惨で驚かされる。

 作業員や現場監督者に、CO2による消火装置の特質に精通した人がいなかったのも事故原因とみられる。今日、安心や安全性、利便性を競うように林立するオフィスビルやマンションなどの建物では、最新のセンサー装置を売りにする場合が多い。

 建造物全体の電気配線などが複雑で、安全性への配慮に死角的な部分が生まれたり、思わぬ負荷がかかっていたりすることがある。今回と同様の消火装置の誤作動による事故は、都内で過去5年で7件、うち2件は死亡事故だという。

 一つの事故が積み重なって大きな事故を生む。作業員の死を無駄にしてはならない。