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新型コロナウイルス禍で、今年もじっくりと…


 新型コロナウイルス禍で、今年もじっくりと花見を楽しむわけにはいかないようだ。密を避けるために、東京・目黒区の花見の名所も、自粛を求める看板が掲げられ、立ち入り禁止のテープが張り巡らされていることが報じられている(読売新聞3月19日付)。

 花見というと、日本では花の下で宴会することを思い浮かべるが、中国などでは単に花を見て楽しむことらしい。「中国でも牡丹の花見はあるが、それは各家々の庭園に入って横から花をながめるだけのことである」(樋口清之著『自然と日本人』)。

 見るだけでは満足できず、その下で宴会もするというのが日本人。樋口氏によれば、それは「花の精気」を受けるという面もあった。桜は花が先に咲くので、そこに自然の生命力を感じたという説である。

 自宅近くの神田川沿いを歩いていると、まだ桜が咲いていないので残念に思っていたが、しばらく進むと6分7分ぐらい咲いている場所に遭遇した。

 そこでは、数人の人が花を見上げながら談笑したり、スマートフォンで撮影したりしている。通り過ぎる人も、しばらく足を止めて見るほど。やはり桜は、人を引き付ける力があると改めて感じた。

 きょうで首都圏4都県に発令中の緊急事態宣言が解除される。だが、コロナ禍は終息していない。感染拡大を防ぐために花見でも良識ある行動が求められるが、果たしてどうなるか。もちろん、桜には何の罪もない話だ。