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東日本大震災からもうすぐ10年。被災地の…


 東日本大震災からもうすぐ10年。被災地の農林水産業は、ほぼ震災前の水準に回復してきている。例えば宮城県の2018年の養殖業生産額は、ギンザケ養殖の回復などを受け、震災前を上回る788億円に達した。

 ここまで回復するには、養殖設備、船、漁具などを失った漁業者の大変な努力があったに違いない。三陸の海は、その努力を裏切らなかった。

 ただ課題も少なくない。そのうち風評被害は科学的な説明と時間の経過によって解決が期待できよう。反対に時間とともに深刻化しそうなのが、担い手不足である。

 岩手、宮城、福島3県の18年の海面漁業就業者数は約1万3000人で、08年の2万人超から大きく減少した。3県では他県の就業希望者を迎え入れる取り組みを行っている。

 ボランティア活動が切っ掛けで、被災地域に移住した若者たちがいる。移住地に根付いていくのか期待を持って見ていきたいが、彼らが新しい風を吹き込んでいることは確かである。ビジネスセンスを持った人たちが東北地方で漁業に就けば、さまざまな可能性が開かれてくるに違いない。

 当事者でない者の勝手な意見かもしれないが、あれだけの犠牲を払った三陸の漁業が、震災以前の水準に回復したことだけで満足してほしくない。世界に誇る三陸や常磐沖の水産資源を生かして、アジアや世界の市場を見据えた有力なビジネスに成長させてほしい。それを震災10年以降の目標にしてはどうか。