世界日報 Web版

冬には毎年、家の庭にヒヨドリがやって来る…


 冬には毎年、家の庭にヒヨドリがやって来る。気流子が朝、庭に出ると、どこにいたのか、空から舞い降りてきて木の枝に止まり、大きな声で泣き叫ぶ。意味は明瞭。餌をねだっているのだ。

 餌台にパンくずを置くと、舞い降りてきてついばむ。だが、お礼を言っている素振りは感じられない。動物たちはどこまで人とコミュニケーションができるのだろうか。動物たちは人の言葉を話さないが、それとは別のやり方で自己を表現する。

 オランダの動物哲学者エヴァ・メイヤーさんは、著書『言葉を使う動物たち』(柏書房)で、たくさんの事例を挙げて動物の表現と言語、倫理規範まで紹介し、人間と共有できるものがたくさんあることを教えてくれる。

 身近な例ではペットの犬がいる。犬と飼い主は似ているとよく言われるが、メイヤーさんの説明によると、両者はお互いの表情やボディーランゲージをまねるので、姿かたちは似ていないのに、見た目に似てくる。

 動物園で生まれたゴリラの言語能力の研究では、研究者が手話で言葉を教えたところ、2000以上の人間の言葉を理解し、ジョークも言った。手話を学んだ別のゴリラは幼い頃、故郷で自分の母親が密猟者に殺されたと語った。

 こうした研究が重要なのは、人間が彼らと共生しているからだ。日本でもシカやクマやイノシシによる被害が深刻だが、著者の研究は相互の対話による共生の可能性を示唆している。