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西高東低の冬型の気圧配置で太平洋側は晴れ…


 西高東低の冬型の気圧配置で太平洋側は晴れの日が続いている。絶好の凧(たこ)揚げ日和といったところである。「密」を避け新型コロナウイルス収束を願って、大空に凧を揚げるのも悪くない。

 凧揚げはもともと中国から入ってきたもので、平安時代の『和名類聚抄』に既に記述がある。大流行するようになったのは江戸時代から。武士から町人まで身分を問わず凧揚げに興じた。

 自然と高さを競うようになり、それが高じてけが人が出たり、凧が江戸城中に落ちたりするトラブルも発生。明暦元(1655)年には、ついに禁止令まで出る。

 凧は京・大阪など上方で「いかのぼり」と呼ばれていた。禁止令が出たものだから、江戸っ子が「いかがダメならタコを揚げる」と言ったのが、凧の呼び名の始まりという。ずいぶん人を食った話だ。人気があったのは奴凧で、普段は侍にこき使われている奴さんが、空の上から武家屋敷を見下ろしているのに、江戸っ子が留飲を下げたから。

 摂津(大阪府)生まれで京都に住んだ蕪村の句に<几巾(いかのぼり)きのふの空の有り所(どころ)>がある。この句を念頭に芥川龍之介が<木がらしや東京の日の有りどころ>を残している。

 一方、生粋の江戸っ子である夏目漱石の句に<金平のくるりくるりと鳳巾(いかのぼり)>があるから、東京でもいかのぼりという呼び名は残っていたようだ。ちなみに金平は、昔話の「金太郎」で知られる坂田金時の息子。江戸の凧には勇壮な武者絵が好まれた。