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年間に発表される医学系の論文は大学、医療系…


 年間に発表される医学系の論文は大学、医療系機関、企業などの分を合わせかなりの数に上るが、その論文を参考にして投薬を済ませた後、内容に誤りがあることが分かったケース。決して起こってはならないことだ。

 大阪大学などは、同大学病院に所属した医師が発表した肺がんの治療などに関する論文5本にデータの改竄(かいざん)や捏造(ねつぞう)の研究不正があったと発表した。うち1本は、肺がん手術後の再発を防ぐ臨床実験で安全性の根拠とされていた。

 薬剤を投与した160人に健康被害は出ていないという。全く不幸中の幸いというべきだ。当の論文ではカルテに記載されていないデータが使われるなどして、薬剤の効果が高く出る結果になっていて悪質だ。

 論文の執筆者は国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)の室長も務めた医学博士の野尻崇医師。肺腺がんの研究で、民間の「後藤ブルダリ科学賞」特別賞を受賞している。

 今、AI(人工知能)の医療分野における活躍が目覚ましい。がんの、ある部位における発見では、すでに人間の能力を超えたとも言われる。だが、AIは不正を見抜けない、暴けないのではないか。

 AIは今の段階では入力されたデータを積み上げるしかなく、不正データで被害が増幅される可能性がある。それを狙って間違ったデータを故意にインプットする輩(やから)がないとも限らない。AIが展開し、AIを武器に疾駆するようになった未来社会の恐(こわ)いのはそこだろう。