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内モンゴル自治区は中国北部にあって、広大な…


 内モンゴル自治区は中国北部にあって、広大な草原にモンゴル民族が暮らしている。2016年に日本で公開された中国・フランス映画「神なるオオカミ」は、彼らの生活を伝える物語だ。

 文化大革命の時代、政府の手で北京の学生2人がこの地に送られてきた。2人はモンゴルの子供たちに勉強を教え、遊牧生活を学んでいく。大草原ではオオカミが神のように敬われていた。彼らによって生態系が守られているからだ。

 青年の一人は神秘的なオオカミに興味を持ち、その子供を密(ひそ)かに育てていく。その一方、中国共産党が入ってきて、近代化の名で伝統文化も大自然も破壊していく。それを象徴しているのが、中国人指導者が空飛ぶハクチョウの列を意味もなく撃ち落とすシーンだ。

 小紙「内モンゴルで進む文化殺戮」(8月24日、25日付)によると、今や言語ばかりか遊牧文化も消滅の危機にある。記事に登場する静岡大学教授の楊海英さんはモンゴル人で、1964年オルドス高原の生まれ。

 『モンゴル人の中国革命』(ちくま新書)という著書がある。描かれているのは、1945年以前にモンゴル自治邦にあった騎兵師団が戦後、中国人民解放軍に吸収され、騎兵第5師団となる話だ。

 この師団はオルドス高原の、中国に抵抗するウーシン旗のモンゴル軍を全滅させる。同族殺戮だ。楊さんが幼少の頃から耳にした出来事である。中国による抑圧は今に始まったことではない。