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安倍晋三首相は緊急事態宣言の延長を発表…


 安倍晋三首相は緊急事態宣言の延長を発表した記者会見で「感染リスクと背中合わせの厳しい環境の中で戦っている医療従事者やその家族に対する差別など決してあってはならない」と述べ、心からの敬意を表した。

 医療従事者に感謝し応援する動きもある一方、医療従事者の子供を預かることを保育園が拒否したという話なども伝わっている。彼らのおかげで、どれだけの命が救われ、感染爆発が抑えられているか。情けない話である。

 こういう人々は日本人の中のごく一部だろう。しかし、ほんの一部とはいえ、こういう心無い言動が出てくる背景に、戦後日本社会の欠陥があるように思われる。

 ニュース報道を見た限りの印象だが、眼(め)の前にいる患者、ひいては社会のために、強い使命感を持って頑張っている人たちに対する敬意が、諸外国と比べて少ないような感じもする。

 これには個人の権利優先という日本の戦後思潮が陰に陽に働いているのではないか。戦前の「滅私奉公」への反発もあり、戦後は社会や国家のために己を犠牲にして使命を果たそうとすることに十分な尊敬が払われなくなった。こうした風潮の中で、崇高な行為への感性が鈍化してしまったのではないか。

 新型コロナウイルスの感染拡大は、非常事態にあっても国や為政者が強い権限を持つことができない現行憲法の限界を明るみにした。さらに、戦後日本の行き過ぎた権利優先の思潮を炙(あぶ)り出す形となっている。