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救急車を呼ぼうか? 「呼んで!」。1時間前…


 救急車を呼ぼうか? 「呼んで!」。1時間前には「呼ばなくていい」と我慢していた老妻が耐え切れずに言うので119番した。夕食時に「味がしない!」と言っていたが、パーキンソン病の持病を抱えていて、日頃から何かと不具合を言うのであまり気にしなかった。

 異変だと緊張したのは夜10時すぎ。部屋は暖かいのに、ベッドで「寒い、寒い」と繰り返す。額に手を当てると少し熱っぽい。そのうち高熱となり、痙攣(けいれん)なのか発作なのか、手足を不規則に激しくバタバタさせて自分でもコントロールできない感じである。

 次の日が始まる時間だったが、救急車は5分ぐらいで来た。収容された車内で酸素吸入器が取り付けられると少し落ち着いたが、それからが大変だった。隊員は近場の病院から次々に緊急電話するが、受け入れ先病院が見つからない。日曜から月曜に日替わりの深夜、昨年の今頃のことだ。

 結局、救急車は1時間余り停車した後、ようやく隣接の市の外れの救急病院まで30分ほども走った。おかげで、パーキンソン病の急悪化かと思った病気はCT検査などで誤嚥(ごえん)性肺炎と診断され、適切な応急処置で命拾いしたのである。

 平常時でも日めぐりが悪いと、救急患者の受け入れ病院探しは難儀する。いま新型コロナウイルス禍で医療崩壊の危機が言われる中では、なおさらのことであろう。

 一人ひとりの外出自粛だけがコロナ感染者や重症者、そして健常者を守るのである。