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新聞の「身の上相談」にはさまざまな相談が…


 新聞の「身の上相談」にはさまざまな相談が寄せられる。最近印象に残ったのは「新型コロナウイルスの流行で、中学生の息子が出演する予定の音楽会が中止になったことがショック」というものだった。音楽会の中止がショックだというのは分かるが、それをわざわざ相談する人(50代の母親、神奈川県)がいることがショックだった。

 命の危険と音楽会(思い出作り)を比較して「思い出」を選択するという発想がそもそも奇妙だ。「音楽会」が全ての基準になっていて、伝染病だろうが学校側だろうが、相談者の設定した基準を破るものは許せないという発想だ。

 だが半面、よくよく考えてみれば、居酒屋であれ、ゴルフであれ、法律で禁止されているわけでもないのだから、行くのは自由だ。

 「周囲がどうであろうと、自分の希望さえかなえばそれでいい」という発想はごく最近まで、新型コロナが流行する以前は、よく見られるものだった。状況の激変で、世間のありようが一変しただけのことだ。

 「息子の出演する音楽会」への思い入れが過剰であればあるほど、その後に表面化した伝染病が大したことには見えなくなるようなことは、人間が犯す錯誤の一例としてはあり得ることだ。

 相談への回答を読むと、相談者をやんわりとではあるがキッパリとたしなめるという調子で、読者としては十分納得できるものだった。肝心の相談者は、回答をどう受け止めたのだろうか。