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3年ほど前に福島県の小名浜港にある「アクア…


 3年ほど前に福島県の小名浜港にある「アクアマリンふくしま」を訪ねたことがある。東北地方最大規模の水族館で、海洋博物館と科学館の機能も兼備。ガラスのドーム屋根がアクアマリンのように輝いていた。

 潮目を再現した巨大な水槽とそこに泳ぐ魚の群れの数々に感動した。が、興味を引いたのは福島原発の事故後、放射性物質に汚染された海水から生き物たちが受けた影響と、その後の回復について調査した地元の資料だ。

 無脊椎動物の場合、体内と海水との浸透圧が同じで、海水を取り込む必要がなくて影響はあまりなかったという。だが魚は体内の浸透圧が低く、脱水を防ぐため大量の海水を取り込む必要があり、放射性物質の影響も受ける。

 回遊魚や根魚など、生態の違いによっても影響は変わってくる。マアジは初夏に南方から来る回遊魚で、汚染水の影響は少なかった。が、根魚のアイナメは影響を大きく受けやすい魚だった。

 スズキ、イシモチ、ヒラメなど、魚ごとに生態と汚染の影響を解説していて興味を引いた。それでもその影響は歳月と共に薄れ、平成29年6月、県は安全を確認した海産魚126種その他を発表。

 福島県の漁業はいま転機を迎えている(小紙3月9日付「福島漁業 拡大へかじ」)。福島県沖で水揚げされる全魚種が先月、国の出荷制限対象から外されたためだ。漁獲量の拡大を期待したい。あの日、水族館を出た後、魚市場で大きなホッキガイを買った。