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最前線部隊の遊び場論争


地球だより

 先日、ソウルの知人宅に遊びに行ったら除隊したての息子さんがいた。配属先は北朝鮮に近い江原道だったというが、最前線近くにいた緊張感から解かれたという安堵感は感じられず、それより病院で取ってもらった顔のホクロの跡をいじりながら就活をしきりに気にしていた。韓国では軍服務を終えてこそ一人前になると言われたが、服務期間が短縮されたり優しい上官が増えたりして「男を上げる」間もなく除隊を迎えることも多いようだ。

 今その江原道の軍部隊をめぐりちょっとした論争が繰り広げられている。将兵たちが休暇時の外出・外泊で利用してきた近隣の飲食店や娯楽・宿泊施設が立ち並ぶ地域について将兵の出入りを制限する案が政府から出され、賛否両論がぶつかっている。「遠出して休暇を満喫したい将兵たちの人権を保障すべき」という賛成派に対し、反対派は「銃声を聞きながら我慢して商売してきた地元住民の経済はどうなるのか」と主張している。

 そもそも政府案が出てきた背景には文在寅政権が掲げる「積弊(積もり積もった弊害)清算」に応えようという忖度(そんたく)が働いている。軍事政権時代につくられた制度にメスを入れれば“実績”になると考えたわけだ。

 ただ、休戦ラインの北側からいきなり弾が飛んできて緊急招集を掛けられても、ソウルまで行って遊んでいた将兵たちが早く復帰するには韓国高速鉄道(KTX)に乗るしかないし、終電後ならお手上げだ。これでは国は守れない。

(U)