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優しくて時間にルーズ


地球だより

 エジプト人は天性が明るく、人懐っこい。生活が苦しくとも、冗談を言い合って吹き飛ばすたくましさも兼ね備えている。私はこの性格は、万年快晴に恵まれている天候に負うところが大きいのではと考えている。家族を思いやり、女性や子供を保護する姿勢、弱者に対する思いやりもとても強いと感じるときがある。

 先日、スエズに向かう途中、タイヤがパンクした。慌てて車を止めてタイヤ交換しようとしたが、なんと、工具が見当たらない。いつの間にか盗まれていたようだ。高速道路を疾走中の車に止まってもらい、助けてもらう以外に道はなかった。

 幸いトラックと乗用車が止まってくれた。1人は、工具を貸してくれ、1人が素早くタイヤ交換をしてくれた。礼に100ポンド(約600円)ずつ手渡そうとしたが、1人は、「そんなこといいから」と言って受け取らなかった。

 電車の中では、ごく自然に、気軽に席を譲ってくれる。トントンと肩をたたいて、席を示してくれるのだ。イスラム教では、人に親切にすると天国に入れるので、乞食にもお金や物を与え、日常生活の中で点数稼ぎを重ねているのだという人もいるが、ごく自然な振る舞いの中に、そんな下心は感じられない。

 時間にはルーズで、「インシャーラー(全ては神の御心だから)」と言っては屈託ない笑顔を浮かべるエジプト人に、腹が立つときもあるが、どこか憎めない。

(S)