世界日報 Web版

龍馬を使う知恵


韓国紙セゲイルボ・コラム「説往説来」

 文在寅政府が発足して1カ月が過ぎ、青瓦台(大統領官邸)前の眺めが一変した。青瓦台前の噴水広場に連日、一人デモを行う人々が押し寄せている。帽子とサングラス姿の人々は炎天下の中でも無言の歓声を上げながら立っている。「成果評価制廃止」、「サード配備反対」、「解雇者復職」…。青瓦台から200㍍離れた住民センター前を、座り込みをする人々に明け渡したこともある。

 今月7日、全国金属労組がテント4張りを電撃的に設置した時、警察は敢(あ)えて阻もうとしなかった。政府ソウル庁舎と光化門市民開放広場の周辺でも一人デモと座り込み用のテントを簡単に見つけることができる。昨年末から週末ごとに光化門広場を埋め尽くしたローソク集会がもたらした風景だ。既に前大統領は逮捕収監され、市民は日常に戻ったが、巨大なローソクの波が残した破片はなかなか消えない。大統領弾劾のスローガンが各自のものに変わった。それもそのはずで、今は天の星明かりを失って各自が内面の炎を燃やしながら生きていく時代だ。

 青瓦台に少しでも近づいて声を上げようとするのを咎(とが)めることはできない。政権の核心人物の誰もがローソク集会の民心(以下、ローソク民心)に従うことを約束したではないか。政権引き継ぎの責任者はローソク民心に従うよう公務員たちを指揮監督し、政府をリードする人物は敢えて公務員を「ローソク革命の命令に従う国政課題の道具」だと規定した。これに鼓舞されたかのように各種団体からの要求が洪水のようにあふれている。政策提言を超えて、借金の督促に近いことも多い。

 (全羅道にある白羊寺)チソン和尚の龍馬の話が話題となっている。龍馬は龍の頭に馬の体を持った想像上の動物で、中国の歴史では、三皇五帝の一人である伏羲が龍馬の背中の模様を見て八卦を作ったと言われるほど神聖なものと考えられている。チソン和尚は一昨日、6・10抗争(1987年6月、当時の与党・民正党の盧泰愚大統領候補による民主化宣言を引き出した民主化運動)記念式で「昔、ある村に龍馬が現れたが、村中の力自慢の青年たちが押し寄せて全員が1度ずつ乗ってみたため、龍馬は疲れ果てて倒れてしまった」という寓話を紹介した。賢明な国民が成功する政府を作るのだという平凡な真理をこれほど簡明に悟らせてくれる説明が他にあるだろうか。龍馬をむやみにこき使って疲れ果てて倒れさせるのか、天空に向かって力強く飛翔させるのかは結局、国民次第だということだ。

 (6月12日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。