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悲惨な教育現場に絶句


地球だより

 ワシントン市内で黒人貧困層が多く住む地域の公立小学校で、友人の娘さんが教員のアシスタントとして働いている。最近、友人一家を夕食に招く機会があり、娘さんから仕事の様子を聞いたのだが、貧困地域の教育現場の悲惨さに絶句してしまった。

 そもそも授業がまともに成り立たない。生徒は教室内を走り回ったり、教室の外に出て行ったり、物を投げたり、ケンカを始めたり…。先生は授業を聞かせるために、生徒にキャンディーをあげるのだという。

 学力も大幅に遅れている。友人の娘さんは5年生を担当しているが、読み書きが十分にできない生徒が多いほか、「5+7」といった簡単な足し算さえ、指を使わないと答えられない子もいるそうだ。

 学校に毎日通うという発想・習慣が乏しいため、1週間くらい平気で休んでしまう生徒もいる。学力が遅れてしまうのは当然かもしれない。

 悲惨なのは教育環境だけではない。父親に一度も会ったことがない、父親は刑務所にいる、家がなくホームレスシェルターから通っている…。そんな家庭環境で暮らす生徒が少なくないという。

 父親がいない上、シングルマザーの母親は仕事で家を空けることが多い。「生活の中で子供に愛情を注ぎ、ロールモデル(手本)となる大人がいないのが問題」。娘さんはそう話していたが、全くその通りだろう。

 豊かで華やかなイメージが強い世界の超大国・米国。だが、その首都ワシントンでさえ、貧困地域にはこんな悲惨な現実が存在する。話を聞き、米社会が抱える「影」を垣間見た気がした。

(J)