世界日報 Web版

中華プラグマティズム


地球だより

 台北のビジネス街を歩く女性を見て、なるほどと思うことがあった。

 ハイヒール履きのOLは皆無に等しく、履いていてもローヒール。ほとんどはスニーカーか、平底の革靴だ。

 しかも度派手な赤や黄色といった色でもなく、大体がブラウンや黒、それに白だ。

 電車に乗っても、制服代わりになっているジャージ着用が目立つ。男性も背広姿は少なく、大体が黒のジャンパーだ。黒だと少々、汚れても気にならないし、着用に便利だ。

 要は虚栄を張らず、プラグマティズムに徹しているのだ。

 それでいて、人々は結構、やさしいし礼儀正しい。道を尋ねても、丁寧に教えてくれるばかりか、どうせ散歩中だからと言って、30分も一緒に目的地まで同行してくれた人もいた。

 電車では、中国やインドのように、降りる人がいるのにわれ先に乗り込む人は皆無で、日本のように両脇に列を作って最後の人が降りたのを確認して乗り込む。無論、みんなが携帯でしゃべりまくり、電車やバスの中が鶏小屋のような喧騒(けんそう)を呈することもない。

 その電車では中学生から席を譲られた。日本では席を老人に譲ることはあっても、席を譲られたことはない。人生初めての出来事に面食らったが、うれしくもあり、少々、悲しくもあった。

(T)