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とんでも火災


地球だより

 東南アジアでは鉄の格子戸をはめたゲストハウスに封印される格好で宿泊者が焼死するといった「とんでも火災」が時々、発生する。

 今回も「とんでも火災」がタイで起きた。タイ南部で2階建て長距離バスの火災で乗客2人が死亡、11人が負傷するという事故が発生したのだ。原因は、乗客を乗せたままの溶接作業で、その火が飛び火災が発生した。

 バスは乗客21人を乗せプーケット島からタイ南部サトゥン県に向かっていた。バス運転手のタイ人男性によると、途中、運転席の椅子がぐらぐら動き不安定になったため、道路沿いの自動車修理店前で一時停車。乗客を乗せたまま修理工が外れかかったスチール椅子をしっかりと固定するため、車内で溶接作業を始めたが、運悪く火花が椅子に引火。あっと言う間に、車内に燃え広がった。

 大体、惨事は不運が重なって起きることが多い。

 タイの長距離バスは、昔だと炎天下の中、窓を開け放って走っていたが、今はどの車両も窓ガラスが固定したままの冷房車両だ。しかも、この時のバスの自動ドアが開かず、乗客は車内に閉じ込められたままだった。やっと駆け付けたレスキュー隊が窓を割って救出したものの、死傷者の犠牲を出さずに済むことはなかった。

 タイの高速バスは走る霊柩車(れいきゅうしゃ)と比喩されることがあるが、今回は火葬場の棺(ひつぎ)状態だった。

(T)