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道徳で教える「家族」


 道徳教育の教科化(「特別の教科道徳」)は、小学校で平成30年度、中学校は31年度から実施される。

 3月に改定学習指導要領が告示され、7月には教科書作成の指針となる学習指導要領解説書が公表されたが、その中で目をひくことの一つが、「家族」に関する記述だ。

 例えば、小学校の「思いやり、感謝」の項目では、感謝の対象を「日ごろ世話になっている人々」から「家族など日頃世話になっている人々」に、また日々の生活が「家族や過去からの多くの人々の支え合いや助け合いで成り立っていることに感謝し」と「家族」を加えている。

 他にも、「父母、祖父母を敬愛し、家族の幸せを求めて、進んで役に立つことをすること」(小学5、6年)、「父母、祖父母を敬愛し、家族の一員としての自覚をもって充実した家庭生活を築くこと」(中学)などの記述がある。

 思いやりや正義感を育てる上で、家族関係の影響は大きい。道徳教育で家族についての項目を充実させることは重要だ。

 ただ、両親が離婚した子供も増え、授業では家族のことを語りにくくなっているのも事実。離婚や死別も含めて、両親がそろっていない家庭で暮らす子供があまりに多いことから、将来結婚して睦(むつ)まじい夫婦関係を築くことがどれほど大切かを言いたくても言えないのが現状だと語る教育関係者もいる。

 それでも、あるベテラン教師は「配慮は必要だが、それ以上に『あなたがここに存在しているのは、まぎれもなくお父さんとお母さんから命を半分ずつもらったからだよ。だからこそ、あなたがいるんだよ』と伝えている」という。

 社会の基本単位が家庭であり、愛に溢(あふ)れた家族をつくる努力が人生にとって価値あることを教える。それも道徳教育の重要なテーマと言えるのではないか。(誠)