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電線伝い侵入するタイの空き巣


地球だより

 タイは空き巣が結構多い。今では警備員が常駐する高級住宅街も珍しくなくなったが、昔からバンコクは富豪の隣にバラックがあったりとモザイク都市の様相を持っている。 とりわけ空き巣が多いのがビル建設現場周辺だ。建設現場の脇には、ワーカーが住むバラックが建てられる。多分にそのバラック住民たちが小遣い稼ぎに悪さをしている可能性も否定できない。なぜなら建築が終了すると時を同じくして、周辺の空き巣被害がばったりと減少するからだ。

 建築現場では高みからの眺望が利く。どの家に金があり、狙い目の時間帯はいつなのか時間をかけてじっくり練ることができる。

 大体、空き巣泥棒というのは散歩でもしていて、突然、プイと他人の家に入って“仕事”をするようなことはしない。10人が10人、下調べをして、ターゲットを定めて時を見計らい決行する。

 タイは民家でも商店でも、建物の入り口や窓には頑丈なシャッターや鉄格子が設置されている。だが空き巣にとって、これらはほとんど意味を成さない。空き巣の侵入ルートの多くは屋根だ。犯人は電柱を登り、時に何十本も絡まった電線をわしづかみにしながら屋根に上る。タイの屋根は日本の瓦構造みたいな頑強さは皆無だ。時にスレートであったりと、簡単に壊される。だから侵入は簡単だ。

 さらに空き巣の多くは、まず窓という窓を全部、開けっ放しにする。家人が突然、帰ってきて鉢合わせした場合、逃げ口を確保するためだ。空き巣といえども家人と遭遇すれば危害を加える。だが、それをやれば空き巣泥棒ではなく強盗だ。捕まれば簡単には牢獄から帰れない。それが嫌で、窓という窓を開け放つ。

(T)