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パスポートパワー


韓国紙セゲイルボ・コラム「説往説来」

 外国を旅行しようとすれば旅券法に従って外交部長官(外相)が発給した旅券(パスポート)を必ず所持しなければならない。旅券は旅行者の身分を証明し、外国政府に保護を求める文書だ。外国では、旅券がないという理由だけで拘禁されたり追放される場合もある。

 第1次世界大戦後、ロシアで大規模な難民が発生したが、ボルシェビキ革命の渦中で有効な旅券を持つことができなかった。国際連盟は1921年、ノルウェーの極地探検家出身の政治家、フリチョフ・ナンセンをロシア難民救済のための高等弁務官に任命した。翌年、ナンセンの主導で開かれたジュネーブ国際会議で、ロシア難民に旅券に代わる身分証明書の発給を決定した。ナンセンはその功労で同年ノーベル平和賞を受賞し、その後、アルメニア難民、シリア難民、クルド難民などにも身分証明書が交付された。いわゆる「ナンセン・パスポート」だ。他国を当て所もなく放浪する難民に大きな力となる文書だ。

 わが国も日本併合時代に旅券のため多くの悲哀を味わった。1919年、第1次大戦の戦後処理のためのパリ講和会議が開かれると、米国で独立運動を行っていた雩南(ウナム)・李承晩(イスンマン)(雩南は号)が国民会代表として参加しようとしたが、日本の妨害で米国政府が旅券を発給せず挫折したとの記録がある。

 旅行者が外国に入ろうとすれば、その国の政府から入国許可証明である入国査証、即ちビザをもらわなければならない。かつてわが国で米国のビザ発給が問題となった。米国ビザをもらおうとすると、書類申請から面接に至るまで長い時間がかかり、費用も少なくなかった。米大使館前にはビザをもらおうとする人々が列をつくって立っているのが日常的な光景だった。2008年、3カ月以下の短期滞在にビザを免除する協定を締結する前までの話だ。

 カナダの金融諮問会社、アートンキャピタルが全世界199カ国を対象に旅券指数を調査した結果、韓国はフランス、ドイツと共に2位グループに分類された。旅券の所持者が予(あらかじ)めビザを発給されていなくても訪問できる国家数がその基準だ。1位グループの米国と英国はビザ免除国が147カ国で、2位グループは145カ国。日本とシンガポールは4位グループ(143カ国)にとどまっている。わが国の「パスポートパワー」が向上したのだ。それだけ外国との交流が活発化し、国の格付けが高まったという意味だ。我々の外国旅行の品格がこのパスポートパワーにふさわしいかどうかは、もっと考えてみなければならない問題ではあるが…。

(4月17日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。