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「9条にノーベル賞」の魂胆


地球だより

 神奈川県在住の主婦の呼び掛けが発端となった、「戦争放棄」などを定めた憲法第9条をノーベル平和賞候補に推薦する署名運動を韓国でも広めようと先日、ソウルで記者会見が開かれた。毎年のようにノーベル賞受賞ラッシュに沸く隣国の快挙を、羨望のまなざしで見詰めるしかなかった韓国が「日本にもう一つノーベル賞を」というのだから恐縮してしまうが、どうもそこには日本に“右傾化”を許し続ける(?)忸怩(じくじ)たる思いがあるようだ。

 先の衆院選での与党圧勝のニュースに、韓国世論は「韓日関係改善はさらに遠ざかった」と悲観的だが、さすがに安倍長期政権と向き合う覚悟をすべきだと発想の転換を求める声も出始めた。「日本が戦争できる国に再誕生したことを前提に、もっと緻密な戦略を練るしかない」(大手紙朝鮮日報)。「戦争ができる」というのは韓国のいつもの誤解だが、韓国側から仕掛けて“右傾化”を改善させる運動こそ「9条にノーベル賞」なのではないか。

 この運動を支持する韓国のある元老政治家は「韓国動乱と分断という苦痛を味わった韓国民の平和への普遍的願い」が動機で、「現実政治とは別物」とくぎを刺した。そうあってほしいが、そもそもこの運動には韓国が「良心的日本人」と呼ぶ日本の左派知識人が賛同している。安倍政権が改憲にこぎつける前に日韓連携で平和賞受賞をテコに“右傾化”に歯止めを掛けるという「綿密な戦略」――なんてことだけは勘弁願いたい。

(U)