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軍政の刀狩り


地球だより

 タイ軍は先月末、南部ナコンシータマラート市の基地で記者会見し、ここ1カ月間で南部14県で押収した武器を公開した。

 押収したのは拳銃、ライフルなど銃570丁、手投げ弾13個や銃弾などだ。

 クーデターでタクシン派政権を追放した軍部が一番恐れているのは、タクシン支持者らが武装闘争に出ることだ。

 軍部が保持する武器は、タクシン派勢力が隠し持つとされる武器を圧倒していることは事実だ。だが軍事力は行使しないで相手を従わせることに大きな意味があることを思えば、力で権力を奪い取った軍部に対し、タクシン支持者らが武器を手に反抗ののろしを上げようものなら、それこそ血で血を洗う内戦一歩手前までいきかねないリスクが存在する。

 何より先々回のクーデター後、タクシン支持グループの一部が過激化し、武闘闘争に打って出た経緯がある。

 無論、圧倒的軍事力を誇るタイ軍の前にタクシン派が追い込まれていく趨勢(すうせい)は見て取れるものの、クーデター政権の力による威圧が外国人の目にどう映るか自明だ。

 そうでなくてもタイ経済は往年の力を削(そ)ぎ落とされ、陰りが見えてきている。

 政権を保持するには、力だけでなく、経済と国民の信託をも維持しないとかなわない。

(T)