トップコラムシャワーの洗礼 ブラジルから

シャワーの洗礼 ブラジルから

 ブラジルに初めて来た時のことだ。知人のアパートに泊まったのだが、バスルームのシャワーヘッドが、ブラジルで広く普及している電気式のシャワーヘッドだった。

 シャワーヘッドから電線が出ており、壁から出た電線につながれている。「このシャワーシステムは正気なのか」と驚き、感電するのではないかと怖かった。調べてみると、シャワーヘッドの中の電熱線で瞬間的に水を温める仕組みだった。

 もちろん、アースをしっかりしていれば理論的には大丈夫なのだろうが、最初のうちは恐る恐るシャワーを浴び続けたのも事実だ。頭を洗うたびに「きょうこそ来るかもしれない」と身構えていた。

 ところが、人間は現金なもので、しばらくすると何も気にならなくなった。むしろ、ガス工事やボイラーも必要ないので、シャワーを使うだけならこれで十分だとさえ思うようにもなった。

 面白いのは、日本から友人や家族が遊びに来るたびに、筆者と同じような反応をすることだ。ある知人は、シャワールームから私を呼ぶと「本当に感電しないのか」と真顔で確認してきた。思わず「110ボルトだから死にはしない」と冗談を飛ばしそうになったが、真面目に感電しない理由を説明し、ブラジルで広く使われているものだと安心させた。

 後日、ブラジル人の知人にその話をすると、今度は彼から「日本で初めてハイテクトイレに出合った日」のことを聞かされた。ホテルで座った便座が温かかったこと、便座に電気が通っていることを知ってお尻が感電しないかと不安になったというのだ。まさに、所変われば品変わるを地で行く体験だ。(S)

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