古代以来、日本は中国から多くの文化を輸入してきたが、宦官(かんがん)と纏足(てんそく)の風習は受け入れなかった。中国文明の恩恵を語る学者は多いが、それを主体的に選択してきたことはもっと評価されてよい。
日本がなぜその風習を拒否したのかを考えることを通じて、日本文化の本質が見えてくるようにも思われる。宦官などの制度の背景には、動物の去勢を普通にしてきた遊牧・牧畜文化があるだろう。日本にはそのような文化がなかった。また自然を敬い自然さを尊ぶ精神風土が、身体の自然な発達を歪(ゆが)める纏足を受け入れなかった背景として考えられる。
一方、日本以上に中国文明の強い影響下にあった朝鮮半島でも、この二つの〝悪習〟は根付かなかった。高句麗などは遊牧・騎馬文化の伝統を持っていたはずなのだが、なぜ根付かなかったのだろうか。李氏朝鮮王朝以降、中国以上の〝儒教の優等生〟となったことが影響したのかもしれない。
『孝経(こうきょう)』には「身体髪膚(しんたいはっぷ)これを父母に受く、あえて毀傷(きしょう)せざるは孝の始めなり」とある。両親から受け継いだ自分の体は大切にし傷つけないことが親孝行の第一という教えである。戦前は日本の教育でも語られた。
そういう点では、模範的儒教国家であった韓国で美容整形が当たり前のように流行しているのは解せない。競争が激し過ぎて〝個性美〟という観念があまり育たないのか。日本から整形手術を受けに韓国へ渡る若い人もいるという。日韓ともに、宦官と纏足を拒否した文化風土を思い起こすべきだろう。
(晋)







