トップコラム地図は認知戦の最前線【上昇気流】

地図は認知戦の最前線【上昇気流】

 日本でも広く使われている世界地図は「メルカトル図法」で描かれている。高緯度ほど面積が広く、赤道に近いアフリカ大陸など低緯度の地域は相対的に小さく表される。実際にはデンマーク自治領グリーンランドの14倍あるアフリカが同じくらいに見える

 これが「不均衡な世界観」を固定化するとして、国連総会で実際の面積を反映した「イコールアース図法」の使用を推奨する決議が採択された。この図法で見ると確かに、アフリカ大陸はこんなに大きかったのかと驚かされる。一方でロシアや北米大陸を過大に見てきたことに気付かされる

「イコールアース・コム」に掲載された地図の一部。北方領土がロシア領と同色になっている[イコールアース・コムのサイトより](時事)
「イコールアース・コム」に掲載された地図の一部。北方領土がロシア領と同色になっている[イコールアース・コムのサイトより](時事)

 この決議には日本も賛成したが、「イコールアース図法」の提唱者が公表した世界地図で、わが国固有の北方領土がロシアと同じ色であることが判明した。政府が抗議し、日本語版は日本と同じ色に変更された。英語版は、日本でもロシアでもない色に変わった

 この決議には米国が唯一反対し、ウクライナは棄権した。ロシアが占拠するウクライナ南部クリミア半島が、どちらでもない無色であったためだ

 プーチン露大統領が北方領土の択捉島を突然訪問してから1カ月余りとなるが、日本政府は駐日大使を呼び抗議するだけで、具体的な対抗措置を取っていない。できることに限りはあるとしても、ロシアの不法占拠を国際社会に訴える必要がある

 それを怠ると、ロシアと同じ色に塗られるようなことになる。世界地図も今や認知戦の最前線になっている。

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