先日、冷蔵庫の扉を支える金属の蝶番(ちょうつがい)が真っ二つに折れてしまった。応急処置として庫内の食べ物が腐らないように椅子とガムテープで扉を押さえたが、使えたものではない。
電話で代理店に問い合わせたり、ECサイトで部品を探したりしたが、古い機種なので純正・社外品を問わず部品がどうしても見当たらない。買い替えを覚悟したが、収納力とステンレス外装が気に入っていることもあり、駄目元で、いつも利用している部品屋に紹介してもらった修理業者を呼んでみた。
修理業者の男性は、蝶番や扉の構造を確認した後に、破断した金属製の蝶番を採寸し「少し費用はかかるが部品を作ってみるよ。あすまで待ってくれ」と言い残して帰っていった。
翌日、男性は削り出しで作った自作の蝶番を持って現れると、あっという間に冷蔵庫の扉を直してしまった。蝶番のサイズと強度も申し分のない出来だった。
ブラジルでは、関税や工業税、物流費が高く、機能や性能に優れた最新の家電は決して安くない。モノによっては、日本と同等品の価格が倍以上することも。いわゆる「ブラジルコスト」だ。
その一方、街には壊れた物を直し、足りない部品を作り、時には別の材料で代用する職人が数多くいる。車やバイク、家電や門扉まで、純正品がなくとも町工場で加工し、使える形に戻してしまう。
修理店から溶接工、旋盤工まで、街のあちこちに専門家がいて、紹介をたどれば「直せる誰か」に行き着く。消費中心の経済圏の外には、庶民の暮らしを支えるもう一つの経済圏があるのだ。
日本の「もったいない」精神にも通じるモノを使い続ける文化。ブラジルの人々のたくましくもしなやかな知恵が生み出した文化の一つだ。(S)







