世界を震撼(しんかん)させた9・11米同時多発テロから25年が過ぎた。これを機に米国の「テロとの戦い」が始まった。それから四半世紀、世界は混迷を深めている

米国を筆頭にテロ対策は格段に厳しいものとなり効果を上げた。一方、中国がテロとの戦いを少数民族などへの弾圧の口実にしているのも事実だ
2023年のイスラム組織ハマスによるイスラエル奇襲から始まったパレスチナ自治区ガザの紛争では、7万人以上のパレスチナ人が死亡した。人質の救出、テロとの戦いを理由にイスラエル軍は一般市民の犠牲をいとわなかった。国連人権理事会の独立調査委員会は、イスラエルがジェノサイド(集団殺害)を行っていると認定した
ベングビール・イスラエル国家治安相が「そこには生きる価値のない者たちがいる。……だからガザで毎晩30~40人を殺害すべきだ」と発言。元嘉悦大学教授の山田寛氏は小紙9月7日付のコラム「山田寛の国際レーダー」で、この発言を取り上げている
読売新聞記者だった1980年代半ば、パリで元ナチス摘発を続けるナチ・ハンターを取材し、「目的は社会正義。彼らを倒すことではない」との言葉に共感を覚えたという山田氏。コラムではユダヤ人大虐殺から八十数年後、その犠牲者らの子孫がナチスと同じ言葉を吐いていることへのやり切れない思いを吐露している
テロを憎む心を持つとともに、テロとの戦いを口実にジェノサイドが行われないよう厳しい目を持ち続ける必要がある。







