小紙ビューポイントの執筆者ペマ・ギャルポさんが著書『中国に奪われた祖国チベット』(ハート出版)を上(じょう)梓(し)した。これは国家基本問題研究所の第6回「日本研究奨励賞」受賞作で、新たな章を加えた普及版
ペマさんは1953年、東チベット・カム地方のニャロンで領主の家に生まれた。56年に中国軍が入ってきてゲリラ戦になり、58年にラサに逃亡。59年にチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世がインドに脱出したのに続いてペマさん一家も後を追う

来日したのは65年、12歳の時。以後日本で教育を受けて学者になり、80年にダライ・ラマ法王アジア・太平洋地区担当初代代表に就任した。この著書で興味をそそるのは、中国に対する見方だ
ペマさん自身が仏教徒であり、日本人の言動に鋭い見方を示して苦言を呈する。日本の仏教界は、宗教弾圧に遭ったチベットに対しては冷淡で、弾圧する中国にはまったくの無批判。抗議の声も上げない
中国仏教協会の会長を務めた趙樸初という人物がいた。さまざまな要職に就き2000年に亡くなったが、中国政府にとっては使いやすい外交官。中国での宗教弾圧に抗議したことはなく、一方、日本で開かれたさまざまな宗教会議に出席した
1985年には立正佼成会から平和賞を贈られ、創価学会とも交流し、また87年に比叡山で開かれた宗教サミットにも参加。中国国内での宗教弾圧の加担者が、日本で宗教家たちと親交を結んでいる。この事実にペマさんは衝撃を受けた。







