トップコラム首都なのに投票権無し? 米国から

首都なのに投票権無し? 米国から

 首都ワシントンを車で走っていると、時折、車のナンバープレートに目が留まる。その多くには「代表なくして課税なし」の標語が書かれている。

米連邦議会議事堂=2025年7月3日、ワシントン(EPA時事)
米連邦議会議事堂=2025年7月3日、ワシントン(EPA時事)

 これは、米国の独立を語る上で欠かせない言葉だ。18世紀、英国議会に自分たちの代表を送ることができない北米植民地の住民が、英国議会からの課税に反発した際に掲げた文言だ。

 ところが、この言葉は現在も、米国で政治スローガンとして使われている。その一つが、ワシントンDCを州に昇格させようという運動だ。現在、DCで新たに登録される車には、原則としてこの標語が入ったプレートが交付されている。

 DCは50州のどこにも属さない連邦政府直轄の「特別区」で、住民は他州の米国人と同じように連邦税を納めているが、連邦議会に上院議員を一人も送ることができない。下院には代表者がいるものの、本会議の最終採決には加われない。

 こうした状況を解消するため、DCでは長年、51番目の州への昇格を求める運動が続いてきた。州になれば、他州と同じように上院議員2人を選び、下院にも投票権を持つ議員を送り込める。一方で、首都を特定の州に属させないという建国以来の制度や、議会の勢力図への影響などから反対論も根強く、実現には至っていない。

 11月3日の中間選挙が近づき、全米では選挙戦に向けて盛り上がりが加速している。しかし、その選挙戦の中心舞台である連邦議会のすぐ足元には、議会で完全な投票権を持たない約69万人の市民が暮らしているというのは、何とも皮肉な話だ。(K)

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