トップコラム進む国家権力による宗教攻撃 国際社会は声を上げよ 元米下院議長 ニュート・ギングリッチ

進む国家権力による宗教攻撃 国際社会は声を上げよ 元米下院議長 ニュート・ギングリッチ

 信教の自由への攻撃が世界を覆っている。共産主義に深く根差し、静かだが非常に危険だ。

 かつては権威主義体制の周辺に限られていたが、今や民主主義世界の門をも突破している。

 この攻撃は「神への世界戦争」と言われてきた。国家権力を武器に、信仰を持つ人々や宗教共同体が攻撃される事態が目の前で進行している。今、この戦いで最も緊迫し、悲劇的な戦場となっているのは韓国だ。

◇牧師を逮捕・起訴

 釜山の長老派「セゲロ教会」の孫賢宝牧師は、公立学校での「ウォークな(リベラルな)」方針に反対し、キリスト教の価値観を主張したとして収監され、有罪判決を受けた。新天地教会の李萬熙氏(95)も逮捕、起訴されている。

 ほかにも、現政権にとって脅威となる可能性があるとして、多くの教会が家宅捜索を受け、捜査対象となっている。

 韓国当局は先ごろ、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の共同創設者で、宗教指導者の韓鶴子氏(83)に有罪を宣告した。家庭連合は世界的な組織へと発展し、米紙ワシントン・タイムズなど複数の事業に関わっている。

 韓氏は世界中の信徒から「マザー・ムーン」と呼ばれている。

 高度に政治化された裁判に直面し、8月31日に有罪判決を受けた。

 この攻撃がいかに深刻なものかを理解するには、標的となっている教団の歩みを考えればよい。韓氏は、2012年に夫の文鮮明師が死去した後、家庭連合の唯一の指導者となった。文師自身、共産主義体制下で過酷な投獄を経験し、生涯にわたり迫害と戦った人物だ。家庭連合は140カ国以上に広がる宗教運動へと発展している。

 韓氏の指導の下、家庭連合は国際紛争の解決、宗教間対話の推進に取り組み、世界各地で信教の自由を訴えてきた。その活動が評価され、26年のノーベル平和賞候補に推薦された。

 しかし、ほぼ失明状態にあり、重い心臓疾患を抱えるこの高齢女性は、約1年間にわたって勾留されている。拘置中に大規模な肩の手術を受けた後も保釈されず、340日余りが過ぎた。

 党派的な李在明政権下の特別検察官らは、贈賄と政治資金法違反の罪で懲役13年という異例の重い刑を求刑した。念のため繰り返すが、韓氏は83歳だ。

 これは通常の刑事訴追ではない。宗教運動を解体するための、組織的な国家主導の取り組みだ。今後、さらに大規模で組織的な攻勢が行われる。李政権の閣僚らは、外国で出された解散命令をモデルとして、家庭連合を直ちに解散させることを公然と議論している。

 李在明大統領は今年1月、教団を「異端」と公に名指しし、解散を求めた。異例であり、これは歴史ある民主主義国家の指導者が用いる言葉ではない。

 さらに懸念されるのは、この取り組みを支える立法手続きが進められていることだ。国会に提出された民法改正案第2215932号、通称「教団解散法」は、宗教団体が「政治に介入した」と政府が判断した場合、政府に監査、捜索、解散を含む広範な権限を与えるものだ。

 つまり、韓国政府による宗教への攻撃を法制化することになる。法案は、違反した教団の資産を国庫に移すことも定めている。この取り組みの下で政府当局者はただ疑いがあるというだけで、令状なしで教会施設を捜索し、記録を押収することが可能になる。

 世界福音同盟を含む主要なキリスト教団体も、この法案に反対している。はっきりしない基準が、国内のあらゆる教会や宗教団体に対して容易に適用されかねないと考えているからだ。

 繰り返すが、北朝鮮であれば、こうした事態は驚くに値しない。しかし、信仰に対するこの攻撃が起きているのは韓国だ。

 1950年以来、自由と民主主義を守るため米軍が駐留してきた重要な民主主義の同盟国が、このような反宗教的で独裁的な手法に屈しようとしている。自由世界全体が注視しなければならない。

◇国際平和に貢献

 ソウルで起きていることは、政治資金を巡る対立にとどまらない。現代の民主主義国家が、宗教的少数派を排除するために法制度と国家権力をどこまで悪用できるのかを巡るテストケースとなっている。

 国際平和のために活動し、ノーベル賞候補にもなった人物が人生の晩年に拘束され、有罪判決を受け、その教団まで政府の命令によって解散させられるのであれば、国家権力の過度な介入を回避できる宗教団体は存在しない。

 この判決について、韓国などすべての民主主義国家は深く考えるべきだ。韓国は自由のとりでであり続けるのか、それとも共産主義に触発された反宗教的な権威主義へ傾いていくのか。

 国際社会は目を覚まし、声を上げ、「マザー・ムーン」を擁護するとともに、信仰を持つという基本的な権利を守らなければならない。

 米国のトランプ大統領とルビオ国務長官は、信教の自由に対するこうした攻撃が、両国の特別な関係を損なう可能性があることを韓国に伝えるべきだ。

spot_img

人気記事

新着記事

TOP記事(全期間)

Google Translate »