トップコラム「いい先生」の暴力【上昇気流】

「いい先生」の暴力【上昇気流】

 気流子が小学3年生の頃の話。担任の先生に対して極めて反抗的な同級生(男子)がいた。気流子も、その児童とロクに口を利いた記憶がない。ある日のこと、何が起こったのか、担任の先生(男性)と衝突したらしい

 先生が激怒した結果、教員による暴力事件となってしまった。何十年も前のことだから、教員の暴力はそれほど特別なことではなかった

 それが行き過ぎてしまった結果、児童が机に頭をぶつけて鼻血を出す始末となった。その時に児童が着ていた白いシャツをはっきり覚えている。鼻血がシャツに付いてしまって、先生としても追い込まれる事態となった

 先生はシャツを洗濯して乾かした上で児童に着せた。気流子らもその後、下校することとなったが、事件は今でもはっきり覚えている。問題の児童は帰宅して親に伝えただろうし、親は学校に抗議したのかもしれないが、そこは分からない。先生はクビにも処分にもならなかった

 思えば「いい先生」だった。先生は戦争中、海軍で潜水艦の前部にいて、敵の潜水艦の音を耳で聞き、それを上官に伝える役目だった。「耳だけは敏感」と本人から聞いたことがある

 先生の耳が、潜水艦や艦隊の安全に少しは寄与したことは確かだろう。その先生とわれわれ児童(問題の児童も)がたまたま出会ったのは昭和30年ごろのことだ。先生自身も、教員として暴力事件を起こしてしまったのはつらく忘れ難い記憶だったに違いない。

spot_img

人気記事

新着記事

TOP記事(全期間)

Google Translate »