トップコラム科学絵本『宇宙』に想う【上昇気流】

科学絵本『宇宙』に想う【上昇気流】

 あちらで戦争、こちらで水難――。何ともやり切れなくなった時、加古里(さと)子(し)さんの科学絵本『宇宙――そのひろがりをしろう――』(福音館書店)を開いてみる。今、私はどこにいるのか、そしてどこへ行くのか。「永遠の今」と「無限の此処(ここ)」を知るよすがとしている

 東京大学工学部出身の加古さんの文と絵の展開が楽しい。宇宙の広がりの一歩を蚤(のみ)のジャンプから始める。体長1~3ミリの蚤は自分の身体の100倍も高く飛び上がり遠くへ行ける。人間であれば高層ビルをひとっ飛びで越えられるくらいのジャンプ力だ

 子供の片足飛びの距離は数十センチ、動物のインパラの跳躍は12メートル。人間の走る最高秒速は10メートル、チーターなら33メートル。アブは秒速11メートルで飛び、ツバメは40メートルで飛翔する

 こんなふうに加古さんは話を広げ、ロケットで地球を飛び出し宇宙に向かう。太陽に最も近い輝く星(恒星)を探そうと、光の速度で1年(約10兆キロ=1光年)飛び続けても見つからない。宇宙はかくも広い

 時間が距離となり、距離が時間となって永遠と無限が重なる。そんな宇宙の片隅で人類は何をしているのだろうか。『宇宙』のページをめくり、想(おも)いを巡らした

 東に西に、南に北に、難儀に出合えば「雨ニモマケズ」(宮沢賢治、1931年作)を思い起こしたい。争いや訴訟があれば「そんなことはくだらないからやめろ」と言おう。自己を捨てて他者に尽くす「デクノボウ」でありたいと心から願う。

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