近年、ブラジルでは中国や韓国の製品に囲まれて生活しているような気になることが多い。サムスンのスマートフォンやヒュンダイの自動車、急成長するBYDのEV(電気自動車)や中国製の日用品など街には両国の製品があふれている。

そんなブラジルだが、日本製品が圧倒的な存在感を放っている業界がある。「ホンダとヤマハのオートバイ」だ。2025年のブラジルの二輪車販売はホンダが約68%、ヤマハが約14%を占め、日系2社だけで実に8割超の圧倒的なシェアを握っている。
通勤の足や配達員の道具、そして若者の初めての愛車としてあらゆる場所を走り回っている。この二輪の牙城だけは、中国勢がなかなか崩せずにいる。四輪の世界で中国メーカーが猛烈な勢いでブラジル市場を切り崩している状況とは対照的だ。
決め手は、驚くほどの頑丈さと燃費の良さだ。エタノール燃料に対応している点も強みで、年間5万㌔近く走るとも言われるフードデリバリーなど配達員の足としての信頼性や経済性は、代わるものがない。さらに全国津々浦々に販売網を持つため修理がしやすく、中古市場での価値の高さも他を寄せ付けない。
当然、ブラジルの二輪業界にも、中国メーカーによる価格攻勢やEV化の波は押し寄せている。ただし、耐久性や中古価値の高さから、日本車の優位は当面、崩れそうにないのも事実。とはいえ、充電インフラの整備やさらなる価格攻勢が進めば潮目が変わりかねない。日本メーカーがこの二輪王国でどこまで足場を守り抜けるか、目が離せない。(S)







