全国一、平均標高が低い都道府県は? そう問われると、島嶼(とうしょ)の沖縄県が思い浮かぶが、正解は千葉県だ(45メートル)。沖縄県(82メートル)のほぼ半分。最も高い長野県(1132メートル)とは比べるべくもない。房総半島南部の隆起地域は300メートルほどで、最高峰の愛(あた)宕(ご)山(やま)は408メートル。低山に属する
温暖で海面が高かった「縄文海進」(約7000年前)の頃、千葉県は島だった。当時の「海と陸の分布図」を見ると、下総の佐倉市は海岸地帯で、海は印旛沼から柏市の手賀沼に向けて北西に広がり、千葉市や船橋市の大半は海中に没している
先週、線状降水帯が千葉県を襲った。太平洋で巻き上げられた水蒸気が山で遮られることなく北進し、大量の雨を降らせ被害をもたらした。その内水氾濫の広さに驚き、つい縄文海進の地図と見比べ、千葉の先史に思いを馳(は)せた
房総には約77万年前の地層で、地質時代を示す「チバニアン」の由来となった「千葉セクション」がある。貝塚の数は全国の2割に当たる約500。古墳は1万2000基以上で、このうち大和王権に由来する前方後円墳は全国一多い700基を超す
「君さらず 袖しが浦に立つ波の その面影をみるぞ悲しき」。日本(やまと)武(たけるの)尊(みこと)が東征の折、相模から上総に渡ろうとした際に犠牲となった后(きさき)の弟(おと)橘(たちばな)媛(ひめ)を偲(しの)んで詠んだ。「君さらず」は君津市、木更津市、「袖しが浦」は袖ケ浦市の地名の由来とされる
千葉県豪雨災害の悲しみもまた、越えていかねばならない。復興支援の輪を広げたい。







