トップコラム「退屈」味わえぬ時代【上昇気流】

「退屈」味わえぬ時代【上昇気流】

 気流子が小中学生の頃、お盆を過ぎた時期は夏休みで一番退屈だった。休みが始まった頃は、虫を捕ったり海水浴に行ったり、楽しいことが多かったが、お盆を過ぎると波が高くなるからと海には行かなくなる

 今のようにスマートフォンやゲームなどはなかったから、ずいぶん暇を持て余した。気流子が勉強や読書を好きでなかったからというより、同世代の少年は大体そんなものだった

 帰省のため列車に乗った。車内で子供たちが、外の景色を眺めるでもなくゲームに熱中しているのを見て、そんなことを思い出した。実際、一日にどれだけの時間、スマホに没頭しているのかと心配になってくる。子供だけではない。普段、電車に乗っても向かいの席に座った人は8割方スマホを見ている

 ゲーム、動画、SNSやメールのやりとりなどのようだが、席に座ったら反射的にスマホを取り出しているように見える。かく言う気流子も、その傾向がなきにしもあらずだ。大体は雑多な情報に接している。それらについて吟味し、考える暇もなく、情報はどんどん入って通り抜けていく

 スマホ依存症にはさまざまなケースがあるようだ。何かしら情報に接していないと、世の中から取り残されてしまうのではないかという不安が日本人には強いのではないか

 暇ができても退屈を味わえない時代になってきた。退屈は、創造的な発想が生まれたり自分自身を見つめ直したりする機会になる。一日の中でスマホから完全に離れる時間も必要だろう。

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