トップコラムマニフェスト選挙の教訓【上昇気流】

マニフェスト選挙の教訓【上昇気流】

 かつてマニフェスト選挙というのがあった。マニフェストとは政権公約のことで、地縁や血縁でなく政策本位で政権を委ねる政党を選択する基準として、一時、新聞にもてはやされた

 2009年8月の総選挙がそうで、鳩山由紀夫代表が率いる民主党がこれをもって「政権交代」を唱え圧勝。自民党を下野させた。このマニフェストはどうなっただろうか

 投票日の翌日に早くも朝日は社説で「賢く豹変する勇気も」(同8月31日付)と言い、日経は「鳩山政権は対米政策で『君子豹変』せよ」(同9月2日付社説)と続き、産経も同調(同3日付コラム欄)。読売は「民主よ、豹変を恐れるな」(同4日付政治面)と檄(げき)を飛ばした

 これに対して毎日は「マニフェスト選挙を強調しておきながら、308議席の支持を取り付けた政権公約を選挙後1週間もたたないうちに考え直せ、とはいかがなものであろうか」(同4日付社説)と異議を挟んだが、多勢に無勢で後にマニフェストを問わなくなった

 はてさて豹変か、裏切りか。羊頭(マニフェスト)を掲げて狗肉(民主党政権)を売った新聞の責任は大きい。これが後に安倍晋三元首相が繰り返し述べた「悪夢の民主党政権」の始まりだった

 こんな「故事」を思い浮かべたのは、新聞(産経を除く)が高市早苗首相に「豹変」(政策転換)を迫っているからだ。が、誤りがなければ、変える必要はさらさらない。ここは「君子、危うき(新聞)に近寄らず」をお勧めしたい。

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