トップコラム数学の難問でAIに誤り【上昇気流】

数学の難問でAIに誤り【上昇気流】

 「膨大なデータを価値あるインテリジェンスへ」――ある人工知能(AI)開発会社のうたい文句。インテリジェンスとは生のデータを有用な知識に変える能力のことだが、AIが〝人間の教師〟の座に就く勢いだ

 こういった社会的位置付けに対し、欧米の著名な数学者ら16人が「AIは信頼性に欠ける論証を展開することがある」とし、「正しい証明なのか見分けることは人間の役割」という内容の「ライデン宣言」を発表した。ライデンはオランダの都市名で、宣言はライデン大で昨年開かれた研究会合の参加者がまとめた

 近年、数学の学会では「未解決だった証明問題がAIで解けた」との報告が相次いだ。例えばポール・エルデシュというハンガリーの数学者が提起した離散幾何学の「エルデシュ問題503」も難問の一つだが、その解法がAIによって見つけ出されたということだった

 しかしその後、ある数学者が異議を唱え、「AI自身が論理を組み替え、証明を正当化した」ものだとして、不完全な論証であることを指摘。その主張がほぼ認められた。AIに悪意はなく、誤った論理だったのだが、間違いは間違いである

 AIが作り出した意思決定プロセスを人間が鵜呑(うの)みにし社会に適用するようなことになれば、この世の中は人間ではなく機械が統べる世界になってしまう

 インテリジェンスや情報の真偽をどう見極めていくか。ライデン宣言が発する警告をしっかりと受け止めなければならない。

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