この夏、ハスの開花を見たのは、福島県会津若松市にある御薬園でのこと。御(お)薬園(やくえん)は国指定の名勝で、松平氏の庭園。池泉回遊式の大名庭園で、園内に薬草園がある。薬草の研修の場でもある

ここでハスが咲いたのは1989年9月12日。オオガハスだった。これは植物学者、大(おお)賀(が)一郎によって51年3月、千葉市検見川の縄文期の泥炭層から実が発見され、翌年開花に成功。今では子孫が各地で花を咲かせている
淡いピンク色の花が幾重にも重なり咲いているさまは、息をのむような美しさ。7月から8月と開花期は長い。花は4日で終わるが、次々と新しい蕾(つぼみ)から開いていく。夏の花にはそんなタイプが多い
大賀は1883年、岡山県の生まれ。第一高等学校から東京帝国大学理学部に進学。大学院に進んでハスの研究を始めた。岡山にいた頃から内村鑑三の『東京独立雑誌』や『聖書之研究』を愛読していた
1902年に上京すると、内村宅を訪ね、聖書研究会のメンバーに。入門の動機は、内村の著書『後世への最大遺物』を読み、それに心を動かされたことだ。立教大学名誉教授の鈴木範久さんが著書『近代日本のバイブル』(教文館)で紹介している
「あの本を読んで人はどんなに小さい事でもいいから何か一つ後世に残る事をしなければいけないと教えられた」(『蓮ハ平和の象徴也』)と大賀は語り、ハスの研究に進んだ。東京・府中市郷土の森公園の修景池には大賀ゆかりのハスがある。






