トップコラムAIデータセンター巡る攻防 米国から

AIデータセンター巡る攻防 米国から

 米国で今、人工知能(AI)のデータセンター建設を巡る議論が熱を帯びている。生成AIの利用拡大を受け、巨大IT企業は全米各地で施設の建設を進めているが、歓迎する自治体がある一方で、住民の反対運動も広がっている。

米オハイオ州中部ニューアルバニーのデータセンター内に並ぶサーバー©Google
米オハイオ州中部ニューアルバニーのデータセンター内に並ぶサーバー©Google

 データセンターは、AIを動かす膨大な計算を担う施設だ。外見は窓のない大きな倉庫のようだが、中には無数のサーバーが並び、24時間稼働を続ける。AI時代を支える「工場」とも言える存在である。

 建設工事による雇用や税収の増加に加え、道路や送電設備などのインフラ整備が進む可能性があり、産業の少ない地域では、新たな企業誘致の呼び水になるとの期待も大きい。

 一方で、課題も少なくない。大量の電力と冷却用の水を必要とするため、電力網への負担や水資源への影響が懸念されている。また、完成後に必要な従業員はそれほど多くなく、継続的な雇用につながらないとの理由から、各地で建設反対運動が相次いでいる。

 7月には42州で計142件の抗議活動が同時に行われるなど、データセンター問題は全米的な政治課題へと発展している。世論調査では、自宅近くへの建設を支持する人は1割強にとどまり、多くの自治体では計画の見直しや延期が相次いでいる。

 「迷惑施設」を巡る議論といえば、かつてはごみ処理場や発電所が主役だった。AI時代の今、そのリストにデータセンターが加わろうとしている。AIが新たな「社会インフラ」として地域に受け入れられる日が来るのか、議論の行方から目が離せない。

(K)

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