今年6月、タクロバン市の高校で、10代の少年2人が校内に拳銃を持ち込んで乱射し、生徒3人が犠牲となる悲惨な事件が発生した。使用された拳銃の一つは、警察官である叔母のものであったことが判明し、この国の家庭内における銃器管理のずさんさが改めて浮き彫りとなっている。

もともとフィリピンは世界有数の銃社会だが、これまでの銃犯罪は政治や金銭を巡る対立が主であり、欧米のような学校を標的にした無差別かつ計画的な乱射事件はほぼ前例がなかった。
今回の事件の引き金となったのは、国際的なオンライン過激派ネットワーク「764」による巧妙な精神支配(グルーミング)だと考えられている。容疑者の少年らは日常的にプレーしていたオンラインゲームを通じて、接触した大人の誘導者に精神支配され、犯行を「ネット上での悪名と承認を得る儀式」と見なすよう刷り込まれていた。
これを受け、政府は一部の暴力ゲームの遮断や、プラットフォームへの安全対策の義務化に踏み切ったが、規制は一時的な対症療法にすぎない。
容易に銃が手に入る土壌がある国だからこそ、ネット経由で子供のスマホに過激思想という火種が注ぎ込まれ続ければ、同様の事件が繰り返される懸念は極めて強い。家庭と社会の防衛線の重要性が今、問われている。(F)
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