トップコラム利根川進氏の訃報に想う【上昇気流】

利根川進氏の訃報に想う【上昇気流】

 「ハックション、ハックション」――。くしゃみが続く。そして鼻水……。これって花粉症の症状ではないか。春のスギ花粉は身に覚えがあるが、夏にも?

ノーベル賞を受賞した利根川進マサチューセッツ工科大学教授(左)と談笑する竹下登首相=1988年3月10日、首相官邸(時事)
ノーベル賞を受賞した利根川進マサチューセッツ工科大学教授(左)と談笑する竹下登首相=1988年3月10日、首相官邸(時事)

 調べてみると、イネ科のカモガヤという草花によるものらしい。夏が過ぎれば、ブタクサか。これでは花粉症が一年中続くことになりかねない。対策を考えねばと頭をひねった

 くしゃみは鼻の中に入った異物を体外に排出しようとする防御反応だ。肺いっぱいに空気を吸い込み、「ハックション」と一挙に吐き出す。吐き出す速度は新幹線以上。まるで空気鉄砲だ

 喉に異物が入れば咳(せき)が出る。細菌が侵入すればリンパ球や白血球が撃滅する。血液検査で白血球の数値が上昇していれば、〝兵力増強〟で細菌などと戦っている炎症反応と診断される

 先週、訃報が伝えられた生物学者の利根川進氏は、高等生物に備わっている免疫反応の謎を解明し、日本で初めてノーベル生理学・医学賞を受賞した。Bリンパ球が遺伝子を次々と組み替え、100万種類を超える弾丸(免疫抗体)を作り出して体を守っているという

 新種の異物の場合、弾丸製造に数日の時間を要する。それでは間に合わず敗戦(死亡)に至りかねない。それで事前に抗体を用意しておくのが予防接種だ

 世界にはドローン、無人潜水艦、AI(人工知能)兵器等々、新種の兵器があふれ返り、ハイブリッド戦が繰り広げられている。こちらの抗体作りは大丈夫か。花粉症以上に気に掛かる。

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